MENU

糖尿病になりやすい人とならない人で生活習慣はどう違う?

同じような生活を送り、体形も同じ、なのに一方は糖尿病になって、もう一方は何ともない。不思議に思いませんか。

今回は、糖尿病になる人とならない人で、生活習慣がどう違うのか、なぜ糖尿病になるのかについて解説していきます。

そもそもなぜ糖尿病になるの?

種類 1型糖尿病  2型糖尿病 
体型イメージ
体型痩せ型が多い肥満型が多い
(痩せ型の人もいる)
発症年齢25歳以下の若者に多い
(何歳でも発症する)
中高年に多い
(若者でも発症する)
症状喉の渇き、多尿、多飲喉の渇き、多尿、多飲
(無症状のこともある)
原因膵臓でインスリンを作るβ細胞が壊れ、インスリンが膵臓から殆ど出なくなる生活習慣や遺伝の影響でインスリンが殆ど出なくなる、若しくは効かなくなる
治療方法インスリン注射食事療法や運動療法
(インスリン注射を併用することもある)

糖尿病には1型糖尿病と2型糖尿病があります。

1型糖尿病は遺伝的因子、環境因子の関与の報告はあるものの、解明できていない点が多いのが現状です。日本の糖尿病の95%を占める2型糖尿病は、遺伝的因子に加え、環境因子など複合的な要因だと言われています。

食べすぎによる(インスリン分泌増加による)、すい臓の負担増、肥満、運動不足などの環境的な要因。それと、もともと体質的にすい臓からインスリンを分泌する力が弱かったり、インスリンの働きが弱かったりする体質であるなどの遺伝的要因です。

日本人が糖尿病になりやすい理由となりやすい人の特徴

実は日本人(アジア人)は欧米人に比べて、糖尿病になりやすい体質なので注意しましょう。

日本人が糖尿病になりやすい理由

日本人はインスリン分泌が少なめ

日本人は欧米人と比べるとインスリンの分泌量が少ないことがわかっています。具体的な数字で言えば、アジア人は欧米人に比べるとインスリンの分泌能が80%程度と言われています。

そのため、軽度の肥満であってもインスリン抵抗性による必要インスリン量の増加に対応できず、糖尿病になることがあるのです。

日本人は倹約遺伝子を持っている

日本人に多く見られる『倹約遺伝子』も糖尿病になる原因として一役買っています。これは、食事で得たエネルギーを脂肪として蓄えておく遺伝子です。そのため、日本人は食べすぎると太りやすい傾向にあります。

インスリン分泌が盛んで、倹約遺伝子を持たない欧米人と同じ生活をしていたら、あっという間に肥満になってしまうのです。

糖尿病になりやすい人の特徴

お菓子など甘いものをよく摂る

お菓子など甘いものをよく摂る

血糖値が上昇すると、膵臓から血糖値を下げるホルモン「インスリン」が分泌されます。甘いものを食べて糖質を頻繁に摂取していると、高血糖状態が続きます。血糖値を下げようとインスリンを分泌し続けた膵臓は、疲弊してしまうでしょう。その結果、膵臓は十分なインスリンを分泌できなくなるため、糖尿病にかかりやすくなると考えられます。

揚げ物をよく食べる

揚げ物をよく食べる

揚げ物は脂質が多く、肥満につながる食べ物です。とくに男性に多くみられる内臓脂肪型肥満では、脂肪細胞からインスリンの働きを阻害する生理活性物質が分泌されます。膵臓はインスリンを分泌し続けますが、血糖値はなかなか下がりません。消耗した膵臓のインスリン分泌能力はしだいに低下し、糖尿病になるでしょう。

アルコール

お酒をよく飲む

お酒には糖質を含むものがあり、アルコール自体も高カロリーであるため、お酒の飲み過ぎは糖尿病や肥満の原因になります。アルコールに食欲増進効果があること、高カロリーなおつまみが多いことも肥満に関係するでしょう。またアルコールは脳の視床下部に炎症を起こし、インスリンの作用に悪影響を与えることもわかっています。

外食が多い

外食が多い

外食によくあるメニューは、糖質や脂質が多いものがほとんどです。野菜やきのこ、海藻に含まれる食物繊維には、食後血糖値の上昇を抑える作用があります。しかし外食メニューは食物繊維の量も少ない傾向があります。高糖質・高脂質で、食物繊維が十分に摂れない外食を繰り返していると、糖尿病のリスクが高まるでしょう。

野菜はあまり食べない

野菜はあまり食べない

野菜に豊富な食物繊維は、糖質の吸収を遅らせて食後血糖値の急上昇を抑え、インスリンの過剰な分泌を防ぎます。野菜の摂取量が少ないと、糖質が体へ一気に吸収されて血糖値も急上昇。インスリンが必要以上に分泌され、体に負担がかかります。野菜ジュースは食物繊維を含まないため、野菜代わりにならないことにも注意しましょう。

運動不足である

運動不足である

運動をあまりしない人は、余分なエネルギーが体に蓄積されて太りやすくなることから、糖尿病になる確率が高い傾向があります。また血糖は筋肉に取り込まれて、エネルギーとして使われます。しかし運動量が少ないと筋肉が衰えて、血糖の消費量は減少。高血糖状態が続くため、糖尿病が発症しやすくなると考えられています。

睡眠不足である

睡眠不足である

睡眠時間が不足すると、食欲を抑えるホルモンの分泌が減少します。反対に、食欲を高めるホルモンの分泌量が増加するので、糖質の過剰摂取につながるでしょう。また睡眠不足になると「コルチゾール」というホルモンの分泌が増加します。コルチゾールには血糖値を高める作用があるため、睡眠不足は糖尿病を引き起こすでしょう。

タバコをよく吸う

タバコをよく吸う

喫煙者は、非喫煙者の1.4倍も糖尿病にかかりやすいといわれています。タバコに含まれるニコチンは交感神経を刺激して、血糖値を上昇させます。ニコチン以外の有害物質もインスリンの働きを阻害するため、喫煙者が糖尿病になる確率は高いでしょう。糖尿病に関係する高血圧や動脈硬化などを引き起こすことからも、喫煙はおすすめできません。

ストレスを感じることが多い

ストレスを感じることが多い

ストレスを感じるとコルチゾールが分泌されます。コルチゾールとは、脈拍や血圧を上昇させてストレス耐性を高めるホルモンです。また肝臓での糖質の合成を促進したり、筋肉や体組織での糖質の利用を抑制したりする働きもあります。そのため頻繁にストレスを感じる人は体内のコルチゾール濃度が高まり、血糖値が上昇しやすくなるでしょう。

親や兄弟姉妹に糖尿病の人がいる

親や兄弟姉妹に糖尿病の人がいる

近親者に糖尿病の人がいると、糖尿病を発症しやすいことがわかっています。ただし遺伝するのは糖尿病そのものではなく、糖尿病になりやすい体質です。したがって家族に糖尿病の人がいても、食事や生活習慣に注意することで糖尿病は予防できます。近親者に糖尿病の人がいる場合はより一層、糖尿病になりにくい生活を意識しましょう。

糖尿病になる人の食生活

糖尿病になりやすい人の食習慣は、ある程度はっきりとわかっています。そのため糖尿病のリスクが高い食習慣を知り、危険な食事を避けるよう努めるだけでも、糖尿病になる確率を減らせるでしょう。

糖尿病になる人の食生活は?

糖尿病になる人の食生活は?

お菓子を頻繁に食べたり、清涼飲料水をだらだらと飲み続けたりしていると、高血糖状態が続いて糖尿病にかかりやすくなります。また糖質や脂質を過剰摂取すると肥満になり、糖尿病のリスクが高まります。早食いや不規則な食事、欠食も糖尿病につながるため要注意です。

健康な人は食事を摂ってから1時間後に血糖値のピークをむかえ、食後2時間程度経つともとの血糖値に戻ります。しかし糖質を摂り続けていると、高血糖状態が続きます。血糖値を下げようとインスリンを分泌し続けた膵臓はやがて疲弊し、正常に機能しなくなるでしょう。

早食いすると、食事を食べ過ぎて太りやすくなります。食事時間が不規則になったり、欠食して食事の間隔が空いたりする場合、血糖値が乱れやすくなります。膵臓に負担が掛かるうえに肥満にもつながるので、1日3食、規則正しい時間に食べましょう。

お菓子はどのくらい食べたら糖尿病になる?

お菓子はどのくらい食べたら糖尿病になる?

「食事バランスガイド」では、菓子・嗜好飲料の適量を1日200kcal程度としています。そのため毎日200kcal以上のお菓子を食べ続けると、糖尿病の確率は高まるでしょう。しかし肥満の場合は1日200kcal以内にとどめても、糖尿病になりやすいと考えられます。

お菓子や清涼飲料水は生活の楽しみであるため、食べてはいけないわけではありません。しかし量や頻度が多過ぎると糖尿病につながります。甘いものを摂るときはパッケージの栄養成分表示を確認し、適正量だけ皿やコップに出して摂り過ぎを防ぎましょう。

糖尿病のリスクを減らすには、食べ方を工夫することも大切です。空腹時に甘いものを摂取すると血糖値が上昇しやすくなるので、食後に食べることをおすすめします。甘いものを夜遅くに食べると肥満につながります。したがって間食は、午前中や昼の時間帯にしましょう。

糖尿病にならないための予防法

栄養バランスのよい食事を摂る

栄養バランスのよい食事を摂る

「栄養バランスのよい食事」がどのようなものかわからない人は、献立に主食・主菜・副菜をそろえて、さまざまな食材を取り入れるように意識してください。食べる量は腹八分目にとどめて、適正なエネルギー量を守ることも大切です。揚げ物や脂っぽい食べ物はたまの楽しみにして、あまり頻繁に食べないようにしましょう。

野菜から食べる

野菜から食べる

食物繊維には糖質の吸収を抑える作用があるため、食事の最初に摂取すると食後血糖値が上がりにくくなります。野菜のほか、きのこや海藻なども有効です。これらの食品は低カロリーなので、摂取エネルギーの抑制にも効果的です。ただし芋類やかぼちゃ、とうもろこしなどは糖質が多いので、食事の最初に食べるのは避けましょう。

よく噛み、ゆっくり食べる

よく噛み、ゆっくり食べる

食べ物を噛むと、脳の満腹中枢が刺激されて「お腹がいっぱいだ」と感じます。しかし脳が満腹と感じるまでの間に早食いすると、必要以上に食べ過ぎるおそれがあります。ゆっくり食べるには口に入れる量を少なくして、一口ごとに箸を置くとよいでしょう。食材を大きく切って食べごたえを出す、薄味にするなども噛む回数を増すコツです。

1日3食、規則正しい時間に食べる

1日3食、規則正しい時間に食べる

食事を抜かずに、毎日規則正しく同じ時間に食べるようにすると、血糖値が安定しやすくなります。どうしても食事と食事の間が空いてしまう場合は、おにぎりのような軽食を摂り、代わりに次の食事の主食を減らしましょう。軽食を摂ると次の食事で血糖値が急上昇しにくくなり、空腹の反動による食べ過ぎも予防できます。

運動に取り組む

運動すると血糖がエネルギーに使われるため、血糖値の低下が期待できます。また余分なエネルギーが消費されて、肥満の予防・改善にもつながるでしょう。糖尿病の予防には有酸素運動と筋トレが有効です。しかし運動習慣がない人は通勤中の駅で階段を使う、テレビを見ながらストレッチするなど、体を動かすことを意識してみましょう。

ストレスをためない

ストレスをためない

食べ物のドカ食いやお酒に頼らない、自分なりのストレス解消法を持ちましょう。ウォーキングやジョギング、ヨガなど体を動かす方法であれば、糖尿病の予防にも効果が期待できます。たっぷり眠れば、睡眠不足も解消できます。どのような方法でもかまわないので、定期的にストレスを解消する時間を持つように心掛けましょう。

禁煙する

禁煙する

喫煙習慣のある人がタバコをやめると、糖尿病の発症リスクが30〜40%低下することがわかっています。喫煙は糖尿病だけではなく、さまざまな疾患のリスクを高める危険な習慣です。近年は、一定条件を満たせば健康保険が適用される「禁煙外来」も増加しています。自分ひとりでは禁煙がむずかしい方は、利用を検討してみましょう。