糖尿病患者になると玄米など糖質を含むものを食べても大丈夫なのか気になりませんか。また、玄米を食べたときに血糖値へどのような影響を与えるのかも気になりますよね。
この記事を見ることで、糖尿病になると玄米など糖質を含むものを食べても大丈夫なのか、玄米を食べたときの血糖値への影響も分かります。
この記事の内容をまとめると
- 玄米と白米は、どちらも糖質を多く含み、エネルギー源になる食べ物です。しかし、玄米には血糖値の急上昇を防ぐ食物繊維が多く含まれるため、糖尿病の治療に効果が期待できます。
- 玄米が食後血糖値の上昇を抑制することは、数多くの研究により証明されています。玄米が血糖値の上昇抑制に効果を示すのは、食物繊維が豊富に含まれているためです。
この記事の執筆者
執筆者 いしもと めぐみ
管理栄養士、食育栄養インストラクター、NPO日本食育インストラクター2級。食材、調理、栄養、健康を得意としており、料理レシピ作成にも携わる。
玄米は糖尿病に良い?白米に混ぜるだけでも効果はある?
「玄米は糖尿病によい」という話を聞いたことがある人もいるでしょう。玄米とは、もみがらのみを取り除いた精米していない米のことです。玄米が血糖値に与える影響を知っていれば、糖尿病の治療に活かせるかもしれません。まずは、糖尿病に対する玄米の効果について解説します。
玄米は糖尿病に良い?
食物繊維を豊富に含む玄米は、糖尿病に有効といえます。もとは同じ米である、玄米と白米。どちらも糖質を多く含み、エネルギー源になる食べ物です。しかし、玄米には血糖値の急上昇を防ぐ食物繊維が多く含まれるため、糖尿病の治療に効果が期待できます。
私たちは、米からもみがら・ぬか・胚芽を除去して、残った胚乳を白米として食べています。この胚乳に多く含まれる栄養素が糖質です。一方、玄米にはぬかや胚芽が残されています。ぬかや胚芽は食物繊維が豊富な部分であるため、玄米に含まれる食物繊維の量は多くなるのです。
玄米は白米に混ぜるだけでも効果はある?
玄米と白米を混ぜたご飯でも、糖尿病への効果が期待できるでしょう。玄米のみのご飯には及びませんが、玄米と白米を混ぜたご飯でも食物繊維の量は多くなります。そのため白米のみのご飯よりも、食後血糖値の上昇が緩やかになる効果が見込めます。
炊飯前の白米100g当たりに含まれる食物繊維の量は、0.5gです。一方、玄米は3.0gであり、白米の6倍もの食物繊維が含まれていることがわかります。白米と玄米を混ぜたご飯を食べても、食後血糖値の上昇は緩やかになるでしょう。
玄米を食べるメリットとデメリット
糖尿病に効果があると知り、玄米に興味がわいてきたのではないでしょうか。玄米のメリットはもちろん、デメリットも知っていれば、玄米を生活に取り入れたあとの「こんなはずではなかった」という後悔を減らせるでしょう。そこで、玄米食のメリットとデメリットを解説します。
玄米を食べるメリット
玄米の食物繊維は血糖値だけではなく、腸内環境にも影響を与えるため、整腸作用が期待できます。また玄米はビタミンやミネラル、抗酸化作用があるポリフェノールも豊富です。歯ごたえがあることから噛む回数が増えて、満腹感を得られやすくなるでしょう。
玄米のぬかと胚芽にはビタミンEやビタミンB1、ビタミンB6などのビタミン類、カリウムやマグネシウム、リンなどのミネラルが多く含まれています。ポリフェノールは体の酸化を防いで老化を抑制し、肌を若々しく保ったり、動脈硬化を防いだりしてくれるでしょう。
玄米を食べるデメリット
玄米の豊富な食物繊維はデメリットにもなります。胃腸の調子が悪いとスムーズに消化されず、内臓に負担を掛けるおそれがあります。玄米のぬかには農薬が残りやすいことから、残留農薬が不安な方も少なくないでしょう。
よく噛んで食べると、玄米の消化はよくなります。しかし胃腸の調子がよくないときは、玄米を食べるのを控えましょう。また農薬には厳しい基準が設けられているため、残留農薬が健康へ影響を与える心配はありません。それでも気になる場合は、農薬不使用の玄米を選びましょう。
発芽玄米と酵素玄米とは?糖尿病に与える影響は?
健康や美容への意識が高い方々の間で、発芽玄米や酵素玄米に人気が集まっています。普通の玄米との違いを知れば、玄米食の選択肢が広がるかもしれません。まずは発芽玄米と発酵玄米について知り、糖尿病との関係を理解しましょう。
発芽玄米とは?
玄米は稲の「種」にあたるものです。発芽玄米は、玄米をわずかに発芽させることで栄養価を高めています。とくに、GABA(ギャバ)という成分が大幅に増加することがわかっています。玄米よりもやわらかくて食味が白米に似ているため、食べやすいことも特徴です。
玄米を発芽させると、酵素が活性化して栄養価が高まるとされています。GABAには興奮した神経を鎮めて、血圧の上昇を抑えたり、睡眠の質を高めたりする効果が期待できます。疲労感やストレスの軽減にも役立つため、GABAは近年注目されている成分です。
酵素玄米とは?
炊飯後の玄米を保温して、3日間ほど熟成させると酵素玄米になります。玄米を熟成させると弾力が出て、もちもちとした食感に変わります。またGABAなどの成分が増加して、栄養価が高まる効果も期待できるでしょう。
酵素玄米は小豆と塩を加えて作られることが多く、まるでもち米を炊いた赤飯のような見た目や味、食感になります。酵素玄米の食感に弾力が出るのは、熟成中に水分が均一にまわるためです。玄米よりもやわらかくなり、消化もよくなるでしょう。
発芽玄米と酵素玄米が糖尿病に与える影響は?
玄米と同様に、発芽玄米と酵素玄米にも食物繊維が多く含まれているため、食後血糖値の上昇は緩やかになるでしょう。また発芽玄米と酵素玄米で量が増加するGABAは、糖尿病の方に多く見られる高血圧に効果が期待できます。
糖尿病の方が高血圧を合併すると、高血糖なうえに血管に圧力がかかるため、血管が傷みやすくなります。すると動脈硬化が進行して、脳卒中や心筋梗塞、腎臓病などの病気になるリスクが高まるでしょう。糖尿病の方は、高血圧の予防・改善も心がけてください。
玄米と血糖値の関係は?実験はある?
玄米は血糖値の上昇を抑制する食物繊維が豊富ですが、糖質も含んでいます。玄米と血糖値の関係について正しく理解しておかなければ、玄米を食べ過ぎて糖質を過剰摂取してしまうかもしれません。ここでは玄米と血糖値の関係について、実験を交えて解説します。
玄米と血糖値の関係は?
玄米が食後血糖値の上昇を抑制することは、数多くの研究により証明されています。玄米が血糖値の上昇抑制に効果を示すのは、食物繊維が豊富に含まれているためです。またGI値を参照しても、玄米は血糖値を上げにくい食べ物であることがわかります。
GI値とは、食後血糖値の上がりやすさを示す指標です。数値が100に近いほど、血糖値が上がりやすい食べ物といえます。白米のGI値は70〜80程度ですが、玄米では50〜60程度を示します。GI値からも、玄米は血糖値の上昇を抑える食べ物であることがわかるでしょう。
玄米と血糖値の関係を表す実験はある?
玄米と血糖値の関係を示した実験を、ひとつ紹介します。糖尿病患者をふたつのグループに分け、それぞれ玄米食と白米食を2ヶ月間摂取させました。すると玄米食のグループで、1ヶ月間ほどの平均血糖状態がわかるグリコアルブミンや、空腹時血糖値が減少したのです。
さらに玄米食のグループは血管の健康状態が改善され、玄米食が終了した2ヶ月後でもその効果が持続していました。血管の健康状態は糖尿病や高血圧、脂質異常症などにより悪化し、動脈硬化につながります。この実験から、玄米食は血糖値の改善や動脈硬化の予防に効果があることがわかりました。
玄米を毎日食べるのはよくない?一日何グラムまで?
玄米と白米はもともと同じ米であり、どちらの食べ物も糖質を多く含んでいます。糖尿病に効果が期待できる玄米も、適切な摂取量を知らずに食べ過ぎてしまうと、血糖値の上昇や肥満をまねくでしょう。玄米の適正量を知り、糖尿病の改善に活かしてください。
玄米を毎日食べるのはよくない?
玄米は、毎日食べても問題ありません。前述の実験でも明らかになっているように、玄米の継続的な摂取は糖尿病の改善に効果的です。ただし玄米はエネルギーや糖質が多いため、食べ過ぎないように注意しましょう。
実は、玄米に含まれるエネルギーと糖質は、白米とあまり差がありません。炊飯前の状態での100g当たりのエネルギーと糖質を見ると、白米は342kcal、77.1gです。玄米は346kcal、71.3gであり、白米とほぼ同じであることがわかります。
玄米は一日何グラムまで?
糖尿病の治療食において玄米は、白米と同じとみなされます。そのため糖尿病の方は玄米と白米をあわせて、炊飯した状態で1日250〜600g程度の摂取にとどめましょう。お茶碗に普通盛りにした玄米では、1膳150g程度です。
糖尿病食において玄米は、白米やパン、麺類などと同じ「糖質が多い食品」のグループに分類されます。そのため玄米の摂取量は、糖質を多く含むほかの食品の摂取量とのバランスを見ながら決めなければなりません。
糖尿病患者におすすめの玄米を使ったレシピを紹介
糖尿病の方には、玄米ときのこの炊き込みご飯や、玄米と青菜の混ぜご飯がおすすめです。玄米と一緒に食物繊維が含まれるきのこや青菜を摂取して、血糖値の上昇抑制効果を高めましょう。
きのこ以外に炊き込みご飯でおすすめの具材は、ごぼうやさといもです。混ぜご飯では、ひじきやわかめがよいでしょう。これらの食材にも食物繊維が豊富に含まれています。炊き込みご飯や混ぜご飯にすると、玄米特有の匂いや食感が軽減されて食べやすくなるメリットもあります。
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まとめ:玄米は糖尿病に悪い?血糖値への影響は?1日何個まで?
いかがでしたでしょうか。糖尿病と玄米の関係性について紹介してきました。
当記事で紹介したように、玄米には血糖値の急上昇を防ぐ食物繊維が多く含まれるため、糖尿病の治療に効果が期待できます。また、玄米が食後血糖値の上昇を抑制することは、数多くの研究により証明されています。玄米が血糖値の上昇抑制に効果を示すのは、食物繊維が豊富に含まれているためです。
糖尿病に対して不安がある場合、早めに診断を受けて対応することが大事です。もし、入院費や手術費に不安がある場合は、糖尿病保険への加入がおすすめです。下記で糖尿病保険を紹介しているので、興味があればクリックしてチェックしてみましょう。